下札(タグ)の出来るまで


目次
レイアウト作り
版の作成
紙の用意
印刷
表面加工
断裁加工
糸付け

 

下げ札は戦略的な営業ツール


下げ札はブランド名やキャッチコピー、商品の特徴、材質、原産国、値段などを表示し、お客様にさまざまな商品情報を伝える役割があります。
しかし実際はもっと大きな役割があります。それは下げ札を付ける商品をより引き立たせることです。
商品自体に際立った特徴があるものはそれだけでお客様の目を引くことができますが、似たような商品が並んでいる場合にはなかなその中で目を引くことは容易ではありません。素材が違ったり強度が違ったり、見えない部分にこだわりがあったりした場合は何かアピールするものを取り付けない限りなかなか差別化できません。
そこで効果的にお客様の商品をアピールしていく決め手になるのが下げ札なのです。
下げ札はPOPと違い、流通過程や店頭では必ず必要になりますので下げ札で商品をアピールしていくことは大変重要なのです。

例えばスーパーに並んでいる野菜や果物はがそれだけでなかなか差別化できないので生産者の顔や特徴の説明文を付けますよね。それと似ています。

りんご比較
その価格帯やターゲットが近ければ近いほどこういうところが売り上げの差になって現れます。

最近はたくさんの商品が海外で製造され下げ札も現地の会社がサービスのように取り付けてきているケースがかなり多くなっています。その場合、どうしても低価格の無難なものが付いていることが多くなります。又、コスト削減をする場合真っ先に削られていくのが下げ札を含む印刷物になります。
しかしここで考えていただきたいのが、他社の商品と競合する店頭において武器となる下げ札のグレードを下げてしまうと商品自体の価値も下がって見えて逆に他社に負けてしまうかもしれません。コストを削減して利益を増やそうとして売り上げが減ってしまう悪循環に陥る可能もあります。
ちょっと大げさに聞こえますがこれぐらい下げ札を重要視してもいいのではないかと考えています。
下げ札は低コストで商品の価値を高める戦略的な営業ツールであると思います。

前置きが長くなりましたが、ただ品質や価格のみを表示するのではなく少しでも商品が引き立つ下げ札デザインをお客様と一緒に考えて作っていきたいと日々考えています。



 

↓前置きが長くなりましたが、ここから下げ札作りに入ります。


 

●レイアウト(デザイン)作り

新しく下げ札を作成する場合は必ずレイアウトデータ(デザイン)を作らなければなりません。レイアウトデータから印刷するための版を作成します。
レイアウト作成は通常印刷業界ではアドビ社のイラストレータというソフトを使用して作っていきます。イラストレーターはプロ用のお絵かきソフトといった感じのものです。
お客様がソフトを持ってられる場合は作ったデータをそのまま送っていただければそれを使用します。最近は店頭のPOPや簡単なチラシ程度のものであれば自社で作っておられる場合もありますのでソフトを持たれていてそれを駆使されている会社も結構あるようです。
お客様で作られる場合は注意する点がいくつかありますのでデザイン、レイアウトの際の注意点を参考になさってください。
又、文字に関してですが必ずアウトライン処理をして入稿していただくようにしてください。お客まがマックの場合はこちらでフォントがある場合がありますがウィンドウズを使用されている場合は必ずアウトライン処理が必要ですのでご注意ください。

過去に作成されたデータをお持ちの場合はそのままの状態でお送りください。文字やその他の問題が無いかチェックします。もし文字にアウトラインが掛かっていない場合は同じフォントか出来るだけ近いフォントを探して作成します。データに問題が発生している場合はこちらで作りなおします。

当社で一から作成することも出来ます。有料のデータを使用する場合やコストが掛かる処理をしなければほとんど無料で作成させていただきます。
その場合は必要な情報をご提供ください。必要な情報とは手書きでも良いのでレイアウトの概要、ブランド名やマーク、社名等のデータです。(画像データやaiデータ、印刷物でも可能ですがスキャニングしたときに劣化します又画像データでも解像度が低いものも印刷に粗が出る可能性があります。)
レイアウトも全く決まってない場合は全て当社で作製することも出来ます。必要事項をお聞きしますので教えてください。ブランド名は?社名は?色は?イメージは?等々
文字種が決まっていなかったりカラーサンプルなどが無い場合は当社で使用しています一覧をお送りしますのでご参考にしてください。

フォント、カラーリスト


デザイン参考資料


レイアウトが出来ましたらPDFファイルにて送らせていただきます。文字種や色のイメージが違う場合は修正いたします。それ以外の多少の変更はお受けしますが、全く違うレイアウトを再作成することになった場合は追加料金をご請求する場合がありますのでご注意ください。
お客様のパソコンの画面と当社のパソコンの画面の色は同じ色を見ていたとしても微妙に濃度や照度が違っていて全く同じには見えません。基本的に打ち合わせは画面でのみ行うので多少違いが生じてもご了承いただいております。
当社とお客様で色を共有する方法はいくつかあります。
客様よりご希望の色サンプル(現物)を送っていただくか、上に画像がありますがPANTONEの色サンプ帳を持っておられたらその記載番号でご指示いただくか、ご指示頂いた色を校正刷りにて印刷しお客様に送らせていただく方法があります。校正刷りは有料になっておりますのでご了承ください。

レイアウトの作成は下げ札を作る上で最も重要なポイントになります。直接お客様のもとへお伺いすることなくデザインの打ち合わせをしていく作業はとても手間がかかります。また、ニュアンスやイメージの相違になかなか前に進まない場合もあります。一つ一つの内容を確実にしていくため、気長にお付き合いくださるようお願いいたします。

レイアウトが完成しましたら後は全て当社の仕事になります。
この後どのようにして下げ札を作っていくのか下でご説明します。





●版の作成

当社が採用しておりますオフセット印刷する場合は必ず版の作成が必要になります。まず作成しているレイアウトにトンボという基準線を付けます。トンボは完成したレイアウトを印刷をするときや後の加工ときに必要になる基準の線をいいます。そのトンボを付けて紙の大きさに応じてパソコン上で複数枚並べていきます。下イラストの下げ札は一枚印刷すると20枚出来上がるように作っています。下げ札が5,000枚必要であればこれを250枚印刷すれば出来上がる計算になります。作成枚数に応じて紙の大きさと印刷1枚当たりの下げ札の丁数を変えて適切な印刷枚数にしていきます。

レイアウト印刷準備

オフセット印刷はとても鮮明にムラ無く印刷することが出来ます。又まとまった数の印刷をするのにとても優れています。商業印刷の分野で一番メジャーな印刷といえます。
よく少量安価で対応する印刷会社がありますが、そこで多いのがオンデマンドプリントです。これは版を作らずにパソコンから直接プリントする方法です。少量の場合は便利で安価ですが、やはり品質はオフセット印刷に劣ります。オンデマンドプリントはカラーコピー機の性能が良い物と考えていただければ判りやすいです。決まった原色のトナーを割合を変えて色を表現していきます。オフセット印刷のように直接色を作ることがないので色の表現力に乏しいのが難点です。
判りやすい例で、「画家が描いた絵画そのもの」がオフセット印刷で「絵画を写真に撮ってプリントしたもの」がオンデマンドプリントという感じです。
印刷以外でも紙も制限されます。少し違う紙質のものを作りたい場合はオンデマンドプリントでは出来ない場合もあります。
商品のイメージに直接関わってくる下げ札の印刷に関してはオフセット印刷のほうが断然優れていると考えています。

オフセット印刷はアルミの版を使用します。版は色の数だけ必要になります。1色なら1枚、2色なら2枚、カラー写真などであれば4枚必要になります。ご説明に使用しているレイアウトの場合でしたら黄緑の版1枚とオレンジの版1枚、製品情報面(以後裏面)の黒を印刷する版の1枚で合計3枚必要になります。ちなみに当社の場合は作成したアルミ版を複数回使用していただくことが可能です。ただアルミ版は使用する度に劣化しますので2〜3回の使用で新しくしていただくことを推奨いたしております。

アルミ版はパソコンのデータより直接出力されます。


アルミ版


以前はここまでの段階がかなり手間が掛かっていました。それも全て手作業でした。
カンプ→版下→フィルム→アルミ版に感光→アルミ版の洗浄

今は パソコンで作成→版出力 で済んでしまいます。便利になりました(笑)



●紙の用意

版の作成と平行して紙の準備をしていきます。当社で下げ札を作成する際に標準的に採用している紙はサンカード+(プラス)という白いカード紙といわれる紙です。もちろんその他のさまざまな特殊紙もお客様の要望により採用しています。
例えばサンカード+で作成としたら、紙の大きさが46判(788mm×1091mm)と菊判(636mm×939mm)の2種類あります。上の20枚付けた版でしたら、それがきっちり収まるちょうど良い大きさにカットします。例えば菊判の紙を8ツ切りにして寸法(318mm×234mm)にします。
これを予備も含めた必要枚数分用意します。


紙の断裁


紙の目について


●オフセット印刷

版と紙の準備が出来ましたら印刷の準備にとりかかります。
まずインクを作ります。作るといっても一から作るのではなく現在持っているいろいろな色のインクを混ぜて印刷したい色に近づけていきます。下のイラストはあくまでも参考です。


インク


オフセット印刷は水と油の反発を利用した印刷方法です。
アルミの版の上に水がなじむ部分と水をはじく部分があり水がはじく部分にインク(油性)が付きます。インクが付いた版から一度ゴム製のブランケットといわれる部分に印刷を移します。そのブランケットから紙に写し印刷します。
直接版から紙に印刷するのではなく、版から一旦ブランケットにインクを移す(OFF)。ブランケットからあらためて紙にインクをつける(SET)するのでOFFSET,オフセット印刷と呼ばれています。


印刷機イメージ
1色目を全て印刷し終わったら乾燥します。黄緑のインクが機械の中に残らないように丹念に掃除します。印刷が乾いたら次にオレンジ色を印刷しますのでオレンジ色のインクを作りアルミ版を付け替えます。緑色のトンボにぴったり合うようにオレンジ色のトンボを合わせていきます。
これを色数分作業します。



トンボ合わせ
オレンジ色の印刷が終われば、乾燥を待ち紙を裏返して同じ要領で裏側の印刷をしていきます。
これで印刷の完成です。



●表面加工(ツヤ付け)

今回はツヤ付け加工(プレスコート)をします。
ツヤ付け加工で一番ポピュラーなものがプレスコートです。印刷したままの状態では印刷面が商品にこすれた場合に色が商品に付く可能性があります。これを軽減し見栄えもよくするために表面に加工します。
ツヤを付けずに保護だけするビニール引きやフィルムを貼り付けるPP貼りなどもあります。

プレスコートは加工したい面に樹脂を塗り、熱い鏡面ローラーで熱を掛けながらプレスします。すると加工面がツヤツヤになります。


プレスコート機



●断裁加工

表面加工が終わると下げ札の形にしていきます。
下げ札の大きさに断裁していきます。紙を100枚〜200枚ぐらい積み上げて豆腐を切るように切っていきます。さすがに包丁ではありませんが大きな刃が付いた専用の機械を使って切っていきます。このとき下げ札の大きさを表しているトンボを目安にカットしていきます。



断裁機


繊維製品やキズの付きやすい商品を傷めないために角にRをつけます。

角丸

糸付けえをしない場合はここでドリルで穴を空けて完成です。

糸なし下げ札の完成。
糸なし下げ札


 

●糸付け(機械付け)

糸付けは機械で取り付ける糸の場合は機械で、出来ない糸の場合は手付け(内職で1枚づつつけます)します。極端に短い場合や、ゴムひも、機械に掛からない糸などが手付けになります。手付けの場合は先に穴あけが必要になります。機械の場合は穴を明けながら糸を付けていきます。

今回は機械での糸付けをします。



糸付け機


大変説明が長くなりましたがここで完成です。
ご紹介した加工以外にもいろいろな加工がありますが、今回は代表的な加工を紹介しました。


下げ札作成サンプル

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糸付き下げ札


 
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